現代と社会システム

複雑化・多様化する消費社会の全体像とらえることは困難であるが、ケータイはそれを実現するツールとして有用ではなかろうか。ケータイの登場と普及は、消費行動の個別具体的なデータを大量に収集し、分析することを実現し、これまでの社会調査とは異なるアプローチが可能になるとかんがえる。

 そこで、2004年秋学期に慶應義塾大学SFCで開講されている授業「現代と社会システム」(熊坂賢次)の中で、田中康夫の「なんとなく、クリスタル」を題材に、履修者にとっての現代消費社会のイメージをカメラ付きケータイで撮影してもらっている。履修者は、自分自身を表現するモノやことがら(記号)をケータイ写真でビジュアル化することで、時代の風景や雰囲気を切り取りながら消費社会像を語っていく。また、こうして一ヶ月間で履修者により集められた1500枚の写真の中から420枚を抽出、かわいい、知的、シンプルなど14個の評価軸にしたがって、履修者それぞれが写真についての印象評価を行った。

 ORFでは、この結果を自己組織化マップでクラスタリングし、各クラスターに写真をはりつけることで、若者のとらえる現代消費社会像をポスター展示として可視化した。これを、ケータイを用いたあたらしい社会調査手法として、提案する。

担当者:妹尾 紗恵(慶應義塾大学政策・メディア研究科 後期博士課程 1年)